
ベランダから見える景色に、優美な三角形をしたシルエットがくっきりと浮かび上がるようになる。
今年も、そんな季節がやってきたのだな、と思う。
不思議なことに、そのシルエットは夏はなかなかぼんやりとして像を結ばない。
空気がきんと冷えた、凍てつくような寒さの日ほど、その影がはっきりと見える。
それともそれは気のせいなのだろうか。
冬の日の空気は透明度が高い。
と、勝手に思っている。
空気に余分な水分が混じっていない分、遠くまで、遠くまで、歪みなく見渡せる。
と、勝手に想像している。
だから、冬の日の空はことさらに遠く高く、ことさらに澄んで見えるのだと。
幼い頃から勝手にそう思い込んでいた。
だけれど。
ずいぶん大人になった今でも、きっとそうに違いないと思っている。
心にも空気にも、余分な湿り気などないほうが、まっすぐに遠くまで見渡せるような気がする。
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