2010年5月7日金曜日

父。







父からメールが着た。
先日、休職に入ったことをメールで知らせたので、その返信だった。

このところ父はずるい。
私が今まで知っていた人と、すこし違う。

父はいつも、人様のことで一生懸命だった。
仕事に打ち込み、自分の遊びに忙しく、家庭のことは振り返らない、よくあるタイプの父親だ。
母も「お父さんはあなたが高校生になるまで、自分に子どもがいるっていう自覚がなかったんじゃないかしら」と言っていた。
父は単身赴任の人で不在が当たり前だったので、さもありなんと、母の言葉にさして疑問を覚えなかった。

「メール」という手段が、父から照れをさっぴいたのだろうか。
父が今まで人様に向けていた視線が、私にもまっすぐに向かってくる。

未だにほとんど会話がない父子関係だ。
それなのに、メールのなかの父は、すごく雄弁だ。
すごく父親っぽい。

父からメールや手紙が来ると、嬉しいと思う反面、イヤだなって思う。
私がどんなに父に愛されているか、実感してしまうから。
実感すると、子どもみたいに涙が止まらなくなってしまうから。
なんだかそれは、負けのような気がする。
・・・・・・最初から親には敵わないのだけれど。

父が、母が。
1分、1秒でも長生きしてくれれば、と思う。

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