2010年5月11日火曜日

「激流」大佛次郎

若き日の渋沢栄一を書いた作品です。
時は幕末、尊皇攘夷の気運が高まっていた頃から幕府が瓦解するまでの時期の渋沢栄一氏が主人公です。
今、NHKで龍馬伝やってる、まさにあの時代です。

渋沢栄一は、名主を勤める旧家の出とはいえ百姓の身分から、尊皇攘夷の志を持って、一橋慶喜の用人・平岡円四郎つまり幕府方の人物に出会い、出自、倒幕の思想に関係なく取り立てられ、その後、慶喜の命を受けてフランスへ留学する。
留学した外国で「資本主義」に目覚める。
ところが、留学中に大政奉還が成り、また一介の浪人に戻る、、、
この続きの、明治政府の中で渋沢栄一が「日本資本主義の父」と呼ばれるまでに成っていく様も読んでみたかったのですが、この物語はここで終了。

幕末、という時期が非常に好きです。
狂乱の時代といえばそうでしょう。
だがしかし、いろんな若者が国を憂え、国を愛し、身を捨てて立ち上がっていった・・・情熱の迸るような時代であったのだなと、思います。

坂本龍馬、渋沢栄一。
同時代には彼らと同じような志を持ち、立ち上がった若者が何千、何百人といたはずです。
そのなかから運命を分けたのは、当人の素質もありますが、「人との出会い」によるところが大きいんだなぁと、彼らの物語を読んでつくづく感じました。
坂本龍馬にとっては勝海舟。
渋沢栄一にとっては平岡円四郎。
いずれも尊皇攘夷を唱える身分の低い若者だったにも関わらず、幕府方の人間に取り立てられ、可愛がられる。
そこから、彼らの運命が開けていくのです。
運命の中で奔走した彼らも偉かったですが、彼らを見出した勝や平岡もまた偉かった。

人生において「師」或いは「恩人」と呼べる人を持ち得るか否か。
なかなかに難しいことかもしれませんが、そういう出逢いを得た人は幸運です。

0 件のコメント:

コメントを投稿