2009年12月16日水曜日

父からの手紙

ポストに、父からの手紙が入っていた。
差出人を見なくとも分かる、封書の宛名書きはひどく特徴のある金釘文字だ。
お世辞にも上手いとは言いがたい、むしろ小学生時代から進化していないのではないかと思われるような文字だ。
その文字を見た瞬間、涙が溢れた。

部屋に入り、取るものもとりあえず封を開け、父の文字が目の中に飛び込んできた瞬間、嗚咽を上げ、子どものように泣きじゃくっていた。

こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。
もう、覚えてもいないくらい遠い昔のことのように思える。

頑固で意地の強い娘だ。
可愛気など全然ない。
一人で大きくなったような顔をし、なんでも勝手に決めてしまう。
家を出たときもそう。
「行くから」と、事後報告をしただけだった。

だけど。
父にとって、母にとって。
私は神経質で線の細い子どもだった。
こんなに大きくなったのに。
こんなにたくましく生きているのに。
こんなに強くなったのに。
父と母にとって私はあの頃の私のまま。

そして。
やっぱり、私はあの頃となにも変わっていなかった。
父のたった一通の手紙で私は、あっという間に子どもに還ってしまった。

父から手紙を貰ったのは、これが初めてだ。
お父さん、お母さん、私は幸福な娘です。

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