


フランスの冬の夕暮れ時を思わせるような、静かな風景。
私は夢中で見つめる。
まなざしほど精巧なレンズはない。
対象を捉える視覚の広さ。
色彩のわずかな違い、変化まで捉える正確さ。
瞬時にして驚くほど広範囲の情報量が瞳によって捉えられる。
常々人間の身体の高度な性能には感動せずにはいられないが、とりわけ、脳と視覚については驚嘆せざるを得ない。
私のまなざしが捉えた夕映え。
本当はもっと違うのに。
もっと美しく、もっと繊細な色彩で、もっと絶妙の角度なのに。
そう思いながら、シャッターを切る。
逃したくない一瞬間を、逃してしまったことを知るために、私はシャッターを切っているのかもしれない。
手に入らないから、美しい。
一瞬だから、心に焼き付けられる。
シャッターを切るのは、そのことを自覚するための手段のひとつ。
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