人間は未完成で生まれてくる
放っておかれると簡単に死んでしまう
かよわくてはかない、ちいさくてたよりなげな生き物
だから、手がかかる
だから、愛情が必要
だから、本能が無条件に反応する
君は眠りにつく方法をしらない
君はひとりで身体を起こすことをしらない
自分の手が自分の手であることすらしらない
自分で自分の髪をひっぱって、その痛みに泣き出す君
君の手が髪をひっぱっているから痛くって、その手を離せばすぐに痛くなくなるのに、君はそんなことも知らない
なにも知らない
ただ、泣くことと、食べることと、身体の生理的な機能以外はなにもしらない
ひとつひとつ、これから生きていくすべをおぼえていかなくてはならない
それはとてつもなく遠い道のりのようにも思えるし、あっという間のようにも思える
難しいようで、簡単なようで
私はどうやってそれを身につけてきたのだろうか
まっしろな君
無垢な君
あるのはただ、至上の愛しさのみ
それだけで充分
それだけで君の虜
私にしがみつく、君の小さな手
それだけで君を愛する理由は充分
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