大林監督の尾道三部作。
唐突に、尾道の風景と、シンプルでねちこくないストーリーを見たくて、原田知世デビュー作の「時をかける少女」を借りてきました。
本当は「転校生」のほうが見たかったのですが、数年前にリメイクされたとのことで、小林聡美版がレンタルショップで見つからなかった・・・
小林聡美のあの演技、最高だったんだけど。残念です。
というわけで「時をかける少女」
幼少のみぎり妹とよく映画を見に行きました。
我が家は父も母も映画が好きで、映画だけはよく連れて行ってもらったし、ふたりで行かせて貰っていました。
ちなみに元日の昨日、実家の父と母は「パブリック・エネミーズ」と「釣りバカ日誌」をハシゴして観にいったそうです。
父上が好きそうなラインナップです。
子供の頃、「映画に連れて行ってやる」と言われて、「寅さん」を観に行くのが本当にいやでした・・・
小学生には寅さんの哀愁は理解し難かったよ、父上・・・
小学生の時に、父に連れて行ってもらってヒットした映画はふたつだけ。
「モスラ」と「ジャッキー・チェンの酔拳、蛇拳、?拳の三本立て」だけは観に行ってよかったと思いました。
ことにジャッキーの映画は、先日WOWOWで特集やっていましたが、いくつになって観ても面白い!!
その後、「この子を残して」という原爆映画や「遠き落日」という野口英世をテーマにしたノンフィクション映画にも連れて行ってもらいました。
そういう作品を思春期の多感な時期に観に連れて行ってもらえたことはとても良かったなと思います。
父が好きなのは、西部劇、人情劇、歴史物。
テレビのチャンネルはいつもそれのどれかです。
今でも実家に戻ると、一日中ケーブルテレビの映画が流れています。
寝ていると思って消すと怒るんだよね(笑)
でもそのテレビの音量が年々大きくなっていて、あぁ、父も歳を取ったのだな、と。
昨年の父の誕生日には、父からメールが来ました。
「今日はあなたのお母さんと、食事をし、「剣岳」を見に行き、涙しました。よい一日でした」と。
これからも好きな映画を、母と一緒にたくさん観に行ってほしいと思います。
世の中の映画監督さん、ぜひ、父が喜ぶステキな映画をたくさん世の中に送り出してください!
で、「時をかける少女」(笑)
とにかく尾道の風景が素晴らしい。
見たことがないのに、「懐かしい」
日本人の心の原風景なのでしょうか、黒い屋根瓦に、格子窓に、土塀に石段。
それとももう今の日本人にはそんな原風景は残っていないのでしょうか。
崩れかけた土塀すら風情を醸し出しているように見えるのは、見る側の心境のせいなのでしょうね。
失われゆくものに、人は、愛惜を感じずにはいられないものです。
原田知世も可愛かったです!
いくつになっても全然変わらない女優さんですが、やはり、十代というのは女性にとっては特別な時間かもしれません。
輝くような美しさ、初々しさがありますね。
それはきっと、いまどきの女子高生も同じかも知れません。
ばっちりメイクして、乱暴な言葉使いで話をしていても、彼女達の身のうちの初々しさやためらいや不安、そういったものはきっと、昔と変わらない。(と、思いたい(笑))
ストーリーも極めてシンプル、そして今のCG全盛時代には信じられない合成技術!
それでも、当時は最新の技術だったのでしょうね。
監督のインタビューで、当時、合成作業をやってくれた方がガンにかかられていて、病院を抜け出してあるシーンを作り上げてくれた。
結局この作品はその方の遺作となったけれど、その人が亡くなられたあともその思いはこうして映画のなかに残っている・・・と、語られていました。
恋に憧れる子供のときに見ました。
どこかしら「恋」という響きに、それがなにかも知らない子供だったはずなのに、気恥ずかしさとなんとなくの後ろめたさを感じながら、ひどく印象に残った映画でした。
今回改めて観て、非常に色気のある作品だなと思いました。
ことに、子供の頃見て鮮明に覚えていたお雛様のシーン・・・あれは非常に色っぽい、こんな映像を子供に見せていいのだろうか!?と思うくらいに色気のあるシーンでした。
といっても、なにか色っぽいシーンなわけではありません(笑)
たぶん、文章で表現してしまえば、「は?それのどこが色っぽいん?」と言ったワンシーンでしかありません(笑)
だけれど今、こんなふうなさりげないのに色気のあるシーンを撮れる監督っているのだろうか?
余談ですが、主演者達の大根役者ぷりが、逆に初々しさに拍車をかけてよい味を出していました!
「デビュー作」というタイトルに相応しい仕上がり、ごてごてした映画に疲れたときは、一服の煎茶のように感じる一作かもしれません。
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